S19.バイオプラスチックの最前線と未来

S19.バイオプラスチックの最前線と未来

(群馬大学大学院理工学府)粕谷 健一

<趣旨>
 古来より人類は綿や絹などの生物由来高分子を,生活の中で利用してきました。近年,特に戦後以降の高分子工業の歴史は,石油化学工業とともに発展してきました。一方で,現在の高分子工業は,そのゴミ問題の解決,原料の脱化石資源化,あるいはプロセスの低炭素化など,様々な角度から,環境低負荷型産業への転換を模索しています。このような背景のもと,生物由来高分子が再び脚光を浴び,「バイオプラスチック」の研究開発が国内外で進められています。ここでいう「バイオプラスチック」とは,日本バイオプラスチック協会が定義する,生分解性プラスチック(グリーンプラ)およびバイオマスプラスチック(バイオマスプラ)を指しています。 
 バイオプラスチックの研究開発の動機には,大きく分けると経済的な側面と政策的な側面の2つが考えられます。経済的側面とは,その開発コストであり,原油価格水準が最も大きな要因と言えます。原油価格が下がれば,バイオプラスチックを開発する動機付けは低下し,上昇すれば,市場の要求も高まり開発は進みます。一方,後者の動機として,ヨーロッパやアメリカ,日本などでは,低炭素化政策が,バイオプラスチック開発,および生産を後押ししています。2017年のバイオプラスックの世界生産能力は,約200万トン(バイオマスプラ110万トン,グリーンプラ90万トン)です。これは,世界の総プラスチック生産の1%弱を占めるに過ぎません。しかしながらバイオプラスチックは,毎年20%程度増加が見込まれています。 
 これらに加えて,近年研究室レベルで,バイオマスから合成できることが実証された化合物数はどんどん増えています。安価な合成プロセスが開発さえできれば,新しいバイオプラスックの創製に加えて,従来の高機能プラスチックがバイオプラスチックに置き換わっていく可能性も高まっています。 
 本特定テーマは、「バイオプラスチックの最前線と未来」をキーワードに、バイオプラスチックの研究開発にかかわる基礎から応用研究、および、バイオプラスチックの市場展開に向けた技術開発にいたるまで、産官学より広範な分野にわたる研究者が集い、バイオプラスチック開発の最前線と将来の新たな可能性につながる討論を期待し企画されました。 
 是非,この分野で活発な研究を展開されている貴方に,次のような特定テーマ分野で研究成果を発表し,討論に参加していただきますようお願いし申し上げます。